菊池渓谷の光芒を初めて撮影に行く前の不安
人に教わり、人に譲られ、そして撮ることができました。
熊本県の菊池渓谷は、30年ほど前に地元の写真家さんが朝の光芒を捉えた作品を発表して以来、夏の渓流での光芒が知られるようになりました。当時は、晴れた日に川や滝で撮影するのは陰影が強くなるため、非常識だと思われ、行く人はいませんでしたが、今では多くの場所で朝の光芒が人気を集めています。最初に撮られていた方たちの感性が素晴らしいと思います。
私は、人気があるため、狭い菊池渓谷の撮影ポイントには人がたくさん集まるだろうから、それが苦手で訪れることをずっと避けていました。
正直なところ、せっかく行って撮り逃すことへの恐れが強かったのです。早く行って場所を確保することへのプレッシャーが嫌だったのです。
ベストなポジションからベストな自然条件で撮らなくてはいけないと欲が強すぎたのです。撮る絵を固め過ぎていました。
どこから撮るんだろう。。
何時頃なんだろう。。
完璧に撮りたい。。
でも、それが、一度は光芒の出る菊池渓谷を見てみたいという単純な思いに変化し、今回、初めて“夏の朝”の菊池渓谷に行ってみることにしました。
出発直前にたまたま都内で風景写真家さんに会い、菊池渓谷のことを尋ねてみると、広い川原があり、そこで撮影するのが良いと聞きました。これで場所はわかった。何時に光芒が出るかわからないなら早く行けばいいだけ。撮影当日は朝早くから歩いていき撮影ポイントに到着すると、三脚を構えていた先客の方たちが笑顔で「こちらへどうぞ」と合図を送って下さり誘ってくれました。あれ、とてもスムーズ。良い朝日の中で順調に撮影を進めていると、誰かが「そろそろ後ろに下がろう」と言うのが聞こえてきて、なるほど、後ろにいる人が撮りやすくなるように前にいる我々がこの場所からどこうとしているようです。私たちは渓谷の一番前で暗いうちから待機して撮影していますが、私たちの後ろでもたくさんの人たちが撮影しているのです。後ろに移動すると、違う光で撮ることができ、譲る気持ちが新しい出合いを作ってくれました。
撮影場所や撮影条件に不安はありましたが、
行ってみたら難なく撮影できました。
撮影現場での人たちの譲り合いも嬉しく思いました。
ちなみに、菊池渓谷に入る前日になってから撮影地情報を初めてネット検索して得ています。
地元の 風景写真家・清家道子さんの菊池渓谷の解説WEBページ がトップにあり、内容に納得。撮影現場での人たちが水の中で撮影しているような画像にはいろいろ想像できました。足元をどうするかも不安の一つでしたが、私は、梅雨明け直後で水量が多いだろうから長靴ではなくマリンシューズで川に入って撮影することを選択しましたが、どっちでも良かったようです。でも、梅雨明け直後の水量は多いので無理は禁物です。人がたくさんいても霧が湧き上がれば人たちは隠れるのかなとも感じました。川の岸辺から多くの人たちが撮影を楽しんでいました。
力まずに、単純に撮りたい気持ちで行っちゃえば何かしら撮れて楽しめるものです。
仮に、晴れなくて光芒が出なくても、美しい渓流です! 気負わないことですね!!
菊池渓谷を出てから、駐車場で車両整理をされていた方との会話。「夕立があった次の日が光芒いいんだよね」。今後の撮影スケジュールを立てるヒントになります。 あと、この撮影は九州北部梅雨明けの翌日です。ものすごい湿度を感じる朝でした。そのタイミングも重要かもしれません。
FUJIFILM GFX100SⅡ
FUJIFILM X-T5